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市民健康講座「がんと和漢薬」が開かれました

印刷用ページを表示する掲載日:2024年2月14日更新

2月2日(金曜日)市役所

市民の間で関心が高い“和漢薬と健康”をテーマに開かれている市民健康講座の5回目「がんと和漢薬」が開かれました。この講座は富山大学和漢医薬学総合研究所と、薬草事業を展開する飛騨市との連携事業で、今回は日本人の死因トップのがん治療における和漢薬の役割を同研究所長の早川芳弘教授が解説しました。

早川教授は「正常細胞に比べ、がん細胞は勝手に増え続け、他の臓器などに転移(浸潤)したり、正常細胞が必要とする栄養を奪って体を衰弱(悪液質)させます」「悪性腫瘍(しゅよう)と異なり、一般的にポリープといわれる良性の腫瘍は浸潤転移や悪液質を起こさず、増殖スピードも比較的緩やかです。例えば子宮筋腫や卵巣のう腫がありますが、早期の胃がんや大腸がんも同様に手術で治ります」などと、正常細胞とがん細胞との違いを説明。

また、内視鏡検査や病理検査、遺伝子検査など、検査と診断についても話しました。この中で「がんの検査は最終的に人が診断していますが、現在、AI(人工知能)によって決定できないか研究が進められています」と話しました。また「“血液のがん”と呼ばれる慢性骨髄性白血病はひと昔前までは治療できないといわれましたが、がんの治療は日進月歩で、細胞を狙い撃ちする新しい薬が開発されるなど、不治の病と言われた病気でも治療できるようになっています」と話していました。

早川教授はがん発生のメカニズムから治療までを解説し、この後「和漢薬の役割」と題して抗がん剤の副作用に対する有用性を指摘。手足のしびれや食欲不振といったさまざまな副作用に、新薬の開発と並行し、患者のQOL(Quality Of Life)向上のため、漢方薬が有効であることを説かれました。

例えば手足のしびれに対しては末梢(しょう)神経障害を起こしやすいタキサン系抗がん剤などが用いられますが、副作用が出にくい「牛車腎気丸」や「芍薬甘草湯」(富山大学で立証実験中)が有効とされているそうです。また、食欲不振に対しては陳皮が構成要素の一つである「六君子湯」に有効性が示されているそうです。

参加者は「がんについて詳しく、わかりやすく話していただき、闘病生活を送っている友人にも伝え、参考にしてもらいます」「とても分かりやすく、がんやその治療について知識が深まりました」「普段は耳にできないお話なので興味を持って聴けました。和漢薬にはすぐに効果を求めず、生活に取り入れて気長にお付き合いしていこうと思いました」などと感想を持たれたようです。

早川教授は「がん治療は適切に医療機関を利用し、抗がん剤の副作用には和漢薬を、また生活習慣や体に良いことなどさまざまな情報を自分で選び、医師と相談しながら生活してください」と助言しました。

講師の早川教授

講師の早川教授

講座の様子(1)

講座の様子

講座の様子(2)

講座の様子

講座の様子(3)

講座の様子

講座の様子(4)

講座の様子

講座の様子(5)

講座の様子