8月11日(金曜日)河合町の角川体育館
河合町歌舞伎保存会(大下哲矢会長)が角川体育館にある「飛騨かわい地歌舞伎小屋」で恒例の地歌舞伎公演を催しました。同町の地歌舞伎は古くから続く伝統行事で、同保存会が後世に残そうと年1回の公演を続けています。
この日は歌舞伎独特のしきたりとされる「御目見得口上」に続いて「白浪五人男 稲瀬川勢揃いの場」と「心中宵庚申 八百屋献立の場」の2幕が演じられました。恒例の「白浪五人男」には唯一、中学生の吉眞悠陽さん(古川中2年)も出演し、堂々とした演技ぶりを披露しました。また、客席から掛かる「待ってました」といった「大向こう」も解禁され、大きな掛け声が飛び交っていました。
続いて演じられた「八百屋献立の場」は八百屋の後家に入ったおくまの嫁いびりを面白おかしく描いた作品で、笑いあり、涙ありの舞台です。こちらも河合小5年の板屋紫万さんがコミカルな丁稚役で登場し、笑いを誘っていました。
終演後、同保存会の大下哲矢会長が役者を代表して切り口上を務め「今年は真夏の開催となり、役者一同、滝のような汗をかきながら演じました。保存会は歌舞伎の伝統を次の世代へと引き継ぐことが使命です。今年は新メンバーも入り、子どもたちも役者や裏方を一生懸命努めました。次の世代へとつなげることができたのではないでしょうか」と話しました。
「白浪五人男」の吉眞さんは河合小6年の時に捕り手、昨年は丁稚役を務め、今年は白浪五人男の一人、弁天小僧菊之助に抜てきされました。吉眞さんは「最初は緊張しましたがセリフも間違えず、楽しく演じることができました。来年もステージに立ちたいです」と目を輝かせていました。
客席からは「皆さん上手で、とてもアマチュアとは思えません」などと感想が聞かれ、今年82歳を迎えた河合町の平井道弘さんは「地歌舞伎は神社で奉納された子どもの頃から欠かさず見ています。テレビと違って生のステージは貴重で、引き込まれますね。これからも楽しませてほしいです」と話していました。