7月2日(土曜日) 飛騨市美術館
飛騨市美術館企画展「茂住菁邨書展―言霊の響―」が8月21日までの会期で始まりました。パリ、東京・銀座、高山市での開催に続き、最終開催はご自身の故郷での開催となりました。
茂住菁邨さん(本名=茂住修身)は古川町の出身。書家として活躍される一方、内閣府辞令専門職に就任され、歴代総理大臣や国務大臣の辞令書などの揮ごうにあたられました。新元号「令和」の発表の際、官房長官が掲げた墨書を揮ごうされたことでよく知られています。今回の展覧会では、茂住さんの41年間にわたる辞令専門職としての活躍を紹介する他、書家としての足跡を振り返っています。
会場には、茂住さんが揮ごうをした作品や、干支の色紙、書の入ったラベルを張った日本酒などの商品などが並ぶ他、硯や篆刻の展示、茂住さんが筆を運んでいる動画の上映、師である青山杉雨氏の作品紹介など盛りだくさんの内容です。
開会初日には、茂住さんが出席しての開会式とテープカットなどが行われました。都竹市長は「東京の個展にうかがった際、書のエネルギー、魂に圧倒されました。書というのは、これほど魂を揺り動かす力があるものなのだと再確認しました。多くの方に茂住さんの芸術にふれていただき、この書の持つエネルギー、魂にふれていただけるような展覧会になれば」とあいさつしました。
あいさつに立った茂住さんは「今日このオープンを迎えられるのが本当に信じられない思い。好きというだけで始めた書道が、まさかこんなにたくさんの人に見てもらえるとは。退職まで無事勤めさせていただき、なおかつ書をこうしてすべて見せる機会を得たということは本当に幸せです。地元の皆さんに心から還元していきたいと思っていますので、一人でも多くの方に見ていただきたい」と話し、感謝の言葉を述べられました。
また、開会式の後にはオープニングギャラリートークがありました。
茂住さんは、軽妙な語り口で創作の経緯や裏話などを紹介。甲骨文字で青龍、朱雀、玄武、白虎を表現した「四神」の創作時にふれ、「字は空間を欲しがる。1枚の紙に2文字までは収めることができるが、4文字になると書いている方はすごく苦しい。ヘロヘロになって書いた」などと、表現者ならではの産みの苦しさを語りました。
まつり会館に17年間仕舞われていた屋台の見送り幕なども今回展示されており、「これまで心残りでしたが、今回日の目を見ることになりました。飾ってもらえて作品が喜んでいる」と、自身の思いも込めて話しました。
会場を訪れた古川町の80代女性は「こうした素晴らしい展示を、よう古川でやってくださった。感謝しています」「いろんな文字があってすごいと思いました。先生のお人柄も素晴らしく、丁寧に説明してくださいました。これからもお元気で活躍していただきたい」と称賛していました。
開館時間は午前9時から午後5時まで(入館は午後4時半まで)。月曜休館。観覧料は一般200円、高校生以下無料。
【問】文化振興課 0577-73-7496へ。