11月13日(日曜日)船津座
東大宇宙線研究所と飛騨市などが共催で、「神岡で語る宇宙と素粒子の世界最先端プロジェクト」と題した講演会を開催しました。毎年恒例のプロジェクト発表会で、今回は講演に先立ち、ひだ宇宙科学館カミオカラボで研究内容に関する「オンラインガイドツアー」も行われました。
講演会は現行のスーパーカミオカンデ(SK)と工事中のハイパーカミオカンデ(HK)、宇宙からの重力波を観測するKAGRAに関する最新の研究内容などを神岡宇宙素粒子研究施設長・塩澤真人教授ら同研究所の研究員が紹介しました。
塩澤教授は宇宙の進化の謎を解くカギとなる超新星爆発のメカニズムの解明など、HKの豊富な研究テーマについて解説。工事は現在、世界最大級の検出器を設置する空洞を掘削中で、2026年には海外チームも集結し27年の実験開始を目指すそうです。
続いてSKについて関谷洋之准教授は超新星爆発によるニュートリノの世界初検出を目指す新たな手法を紹介。また、KAGRAでは大橋正健教授が超新星爆発の天体現象を解明するため、来年3月スタートの国際共同観測に向けた機器の改良と試験運転の状況などを紹介しました。
講演後、関谷准教授は「挑戦し続けると予期せぬ発見が生まれますが、それが研究です。特にニュートリノは分かれば分かるほど重要であることが見えてきます。世界をリードしてきたニュートリノ研究の実績と技術を基に、今後も世界をリードしたいと思います」と話していました。
来場した神岡町の田屋文子さんは「壮大な研究施設と宇宙のロマンに魅せられてイベントにはできるだけ参加するようにしています。内容は難しいですが研究者の方々の話が分かりやすく、楽しかったです」と感想を述べていました。
なお、この講演会はオンラインでも配信され、来場者を含め約320人が聴講し、各地から多くの質問が寄せられました。関谷さんは研究者を目指す若者に「実際にやってみるとさらに面白さが分かるので、まずは足を踏み入れて」とエールを送っていました。