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第7回目の研究者トークを開催しました

印刷用ページを表示する掲載日:2019年12月23日更新

 ニュートリノ!サイエンスコミュニケーターの高知尾です。先日、今年度最後となる「研究者トーク」が開催されました。

 

 神岡鉱山では、スーパーカミオカンデの他にも様々な最先端の研究が行われています。

 

 その中で、今回は大阪大学が主導するCANDLES(キャンドルズ)という実験グループに所属する福井大学の中島恭平さんにお越しいただきました。

 タイトルは「カルシウムを使った地下で探るレアイベント探索」です。

 

超新星イラスト前の中島さん

福井大学 学術研究院工学系部門 原子力安全工学講座 講師 中島恭平さん

 

トーク開始前の様子

トーク開始直前。スライドの背景に映っているのがCANDLES検出器。

 

 CANDLESとはろうそくという意味ではなく、「低エネルギー検出器によるニュートリノと暗黒物質研究のためのフッ化カルシウムを用いた実験」という意味の英語の頭文字がとられています。

 

 中島さんは、2つの問いを起点にお話ししてくださいました。

 

問い1 どうして、地下で研究しているのか?

問い2 どうして、カルシウムを使うのか?

 

 まず、問い1について。CANDLESが見ようとしているのは、普段滅多に起こることのない「レアイベント」です。そのため、それ以外が原因で検出器が反応してしまうと厄介です。宇宙からは日々、たくさんの宇宙線(主にミューオンという粒子)が降り注いでいます。そうした宇宙線が検出器まで届くのを防ぐシールド(遮蔽)として鉱山の岩盤を利用しています。神岡鉱山がある地下では、ミューオンの量を地上の10万分の1まで減らすことができるそうです。そのため、スーパーカミオカンデ等の多くの実験施設が集まっているのです。

 

 問い2については、いかがでしょう。CANDLESで観測した「レアイベント」は、物質を構成する粒子が起こす「(ニュートリノの出ない)二重ベータ崩壊」という現象です。これは、宇宙でどうやって物質が生まれたのかという疑問に対するヒントを持っていると考えられていますが、まだ観測に成功した人はいません。そして、この現象を起こす物質は限られています。その中でも、信号が見えやすく比較的たくさんに手に入りやすい物質であるカルシウムが選ばれました。下の写真で、中島さんが紹介しているのがCANDLES実験の写真です。中央にたくさんある透明な立方体がフッ化カルシウムというこの実験の核となる部分です。とても美しい検出器ですね。

 

研究者トークの様子

CANDLES実験を解説する中島さん

 

 参加者からは、世界で類似の実験があるか等の質問があがりました。二重ベータ崩壊を最初に発見するために世界中で10以上のグループが熾烈な競争を繰り広げているとのことでした。CANDLES実験は、今後もさらなる改良の計画もあるということでみなさまもぜひご注目ください。

 

 ご登壇いただいた中島さん、ありがとうございました。

 

 さて、カミオカラボでのトークイベントは来年4月以降、さらにパワーアップして継続予定です。これまで行われた計7回の研究者トークにご協力いただいた研究者のみなさま、そしてご来館頂いたみなさま、本当にありがとうございました。


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